『おはぎ』は、お菓子屋さんやスーパーで一年中目にする身近な和菓子ですね。
午後のおやつやお茶請け、また、小腹が空いた時に食べるのにぴったりのお菓子ですが、本来はお彼岸にご先祖様にお供えする歴史あるお菓子です。
そんな『おはぎ』ですが、あなたは小豆を丸ごとを感じられるつぶあんが好きですか?それとも小豆をこしてなめらかな舌触りに仕上げたこしあんがお好みでしょうか?
今回は、そんな『おはぎ』の『こしあん』と『つぶあん』についての疑問を調べてみました。また、『おはぎ』とは何が違うのか?同じなのか?よくわからない和菓子?の
『ぼたもち』についても調べてみましたので、暇つぶしにどうぞ!
『つぶあん』と『こしあん』ちがいは何?
『つぶあん』と『こしあん』、両方とも小豆を甘く煮てペースト状にしたものですね。
では何が違うのかというと、
- 『つぶあん』は小豆の形を残したもので小豆を皮ごといただくのに対し、
- 『こしあん』は『つぶあん』をこして皮を除き、食感をなめらかにしたものです。
あんこと言えば『つぶあん派』『こしあん派』どっちが好き?なんて会話はあんこのお菓子を前にして、あなたも一度は話したことがあるのでは?
実は『あんこ』の歴史を紐解くと最初に記録に残っているのは『こしあん』だそうです。
日本最古のお菓子についての書と言われている
『御前菓子秘伝抄』 には、
こしあんの作り方が載っているのです。砂糖がまだ貴重品だった江戸時代中期、『御前菓子』には高級な砂糖に手間ひまかけた『こしあん』が高級品として記録に残っているようですね。
しかし、同じように小豆の形を残した『ぜんざい』と小豆の皮を取り除いた『おしるこ』、こちらは『ぜんざい』の方が先に生まれたという記録が残っているそうですよ。『ぜんざい』はすでに室町時代の文献、「尺素往来(せきそおうらい)」に記録されているようです。
同じ小豆と砂糖を使い、お餅も使っているのに面白いですね!
つぎに、どちらがどう違うのかがよくわからない『おはぎ』と『ぼたもち』についてです。
『おはぎ』と『ぼたもち』の違いは?
『おはぎ』と『ぼたもち』、両方とももち米をあんこでくるんだお菓子ですが、今の時代一般的には同じものとされています。
では、何が違うのかというと
日本には『春彼岸』と『秋彼岸』の、年に2回お彼岸があります。
この時期にご先祖様を供養する際、お供えされるのがこの『おはぎ』と『ぼたもち』です。
- 春は牡丹の花にたとえ『『ぼたもち』
- 秋は萩の花にたとえて『おはぎ』
と呼びます。
お彼岸の話が出てきましたが、こんな役に立つ豆知識いかがですか?
お彼岸にぼたもちやおはぎを食べるのは
『五穀豊穣』を願うもち米と赤い色が魔除けとされていたことから『厄除け』を願う小豆。
そんな願いを込めて『おはぎ』・『ぼたもち』を作ってご先祖様に供え、豊かな日々を感謝し、私たちを守ってくださいとお願いしていたんでしょう。
このようにおなじ和菓子を季節が変わることで呼び名を変えるという、季節ごとに情緒豊かな日本人らしい素敵な慣習となっているようです。
- つぶあんで作ったものを『おはぎ』、こしあんでつくったものを『ぼたもち』という地域
- もち米をお餅にしてあんこでつつんだものを『おはぎ』、もち米の米粒が残ったものをあんこで包んだものを『ぼたもち』と呼ぶ地方
- またその『おはぎ』と『ぼたもち』の解釈がこれらと反対になってるところ
- 小さなものを『おはぎ』と呼び大きなものを『ぼたもち』と呼ぶ地域
あんこをもち米で包み、きな粉をまぶしたものを『おはぎ』と呼ぶ地方
と、日本各地で様々な文化がこの和菓子一つをとってもあるようです。
私は『おはぎ』と言えばつぶあんでもち米を包んだものと、きな粉をまぶしたもの、この2つが思い浮かびます。『おはぎ』はこしあんのイメージですね。あなたの地域では『おはぎ』と『ぼたもち』、それぞれどのようなイメージでしょうか?
おなじお菓子なのに季節や地方で名前が変わるなんて、日本は国土こそ小さいですが考え方は幅広く、物に対する思いが深いな、と感じます。歴史があるものは特にそう感じますね。
この国には不思議で楽しい習慣がたくさんあります。本当に風情のある色彩豊かな国に生まれて良かったなぁと私たちも感謝してお供えするようにしたいですね。
そんな「あんこ」たちですが、自分で作れないのかしら?
『つぶあん』と『こしあん』、せっかくなら一緒においしく食べたい!
『こしあん』も『つぶあん』も自分で一から作るのはなかなか大変です。
作り方はいたってシンプルなのですが、コツと手間が必要です。
簡単に紹介しますと、
- 小豆を水から煮て一度お湯を捨て再度水を入れて煮る。
- 指でつぶして芯がなくなるくらいまで柔らかくなったら砂糖を入れて練ってつぶあんは完成。
- それをこしたものがこしあん。
でも、可能ならば
- 一晩小豆を水に浸して事前準備をしておくとか
- 煮ている途中にびっくり水を足して再度沸騰させる。
などのポイントも多く大変なんです。
実は私、結婚してすぐの頃、お菓子作りが趣味で和菓子にも手を出し、生まれて初めての『つぶあん』作りに失敗した経験があります。お店で買うしっとりとしたなめらかな中に小豆の粒が感じられる『つぶあん』というのは簡単には作れないんだなぁ、と当時は実感したものです。
しかし!私もそれから時を重ね、また時代の進歩も重なって手軽にあんこを作れるようになりました!
せっかくなら手作りで安心のおいしいあんこを簡単に、しかもつぶあんだけでなくこしあんも出来たら一度の作業で二度のおいしさが楽しめますよね。
圧力鍋で上手に作る
私が失敗したときは普通のお鍋でかたいかたい小豆を水から煮ました。
そもそもあんこ経験ゼロの私にはそれが失敗の原因だったんです。ふっくら柔らかにならず煮崩れて、その上なんだか固くパサついたあんこになってしまいました。
でも、圧力鍋を使うと短時間で小豆が柔らかくなり、固いあんこにならずに済みます。砂糖を入れて練るまでのステップにはぜひ圧力鍋を試してみてください。
あなたのおうちに圧力鍋はありますか?もしない場合には!
炊飯器で簡単に作る
そんな時にお勧めなのが、おそらくあなたのおうちにも必ずあるでしょ!と思われる炊飯器です。
今は、1人用の炊飯器などもありますからね。
炊き方
炊飯器に小豆と水を入れて炊飯スイッチオン!
小豆と水の量は、最初の数回、慣れるまでは100gをちゃんと煮えるように
基本の
- 小豆 100g
- 水 800g
から試してみて下さい。(火力や機器によって水の量が異なりますので何度か調整して確かめてみて下さいね。)
1回目の炊飯が終わったら
お水と砂糖、塩をプラスして再度炊飯スイッチをオン。
分量 | 通常 | 甘さ控えめ |
砂糖 | 100g | 70g |
塩 | 1~1.5g(小さじ半分) | 1g(軽く一つまみ) |
これで『つぶあん』が出来上がります。時間は圧力鍋よりかかるし、ふっくら加減も圧力鍋より劣るかもしれませんがとにかく簡単!スイッチさえ入れておけば後は炊飯器にお任せです。最後にかき混ぜるだけでOK.
つぶあんはこれで出来上がりですが、手間がかかる『こしあん』これを何とか簡単にできないものでしょうか?
残念ながら、やはり皮を取り除く方法は『ざる』でこすしかなさそうです。
しかし、皮の食感が多少残るくらいならいいよ、というあなたにおススメの方法があります。
ミキサーを使ってこしあん作り
指で押すと軽くつぶれるほど柔らかく煮た小豆を浸るくらいの煮汁と一緒にミキサーにしっかりと長めにかけてみてください。そこから水分を飛ばすとほぼこしあん!皮もほとんど気になりません。
私が実際に試した中では一番簡単にこしあんが味わえます。しかも、栄養価も食物繊維も豊富な大豆を丸ごといただかない手はありません。
自分で作ると甘さも滑らかさも自分好みに調節できて、素材も安心できるものが使えます。買ってくるよりは手間がかかりますが、それ以上の価値が十分にあると思います。多めにつぶあんを1回作ったらその半分をミキサーにかけるたけでつぶあんとこしあんが楽しめますよ。
最後に
『おはぎ』のあんこについての疑問から書き始めた記事ですが、『おはぎ』と『ぼたもち』の違いや、あんこの簡単な作り方まで話が広がりました。(笑)
春のお彼岸には『ぼたもち』、秋のお彼岸には『おはぎ』を!
ご先祖様に感謝しつつ、家族みんなのためにもおいしいあんこを手作りして作ってみませんか?
『おはぎ』や『ぼたもち』はお彼岸にお供えする事が多いため、「おばあちゃんがご先祖様と家族みんなのために作ってくれる。」というご家庭もまだあるかと思いますが、核家族が進んでしまった現代では、それは、幼い頃の思い出の中、親戚で集まって食べた事を懐かく感じられる方も多い事でしょう。
昔はおばあちゃんの役目だった『ぼたもち』『おはぎ』作りですが、きっと子どもたちも楽しんでもち米をまるめたり、あんこで包んでくれたりと手伝えますよ。
おばあちゃんがいるお家ではおばあちゃんに教えてもらうのもよし!おばあちゃんはいるけど一緒に暮していなければ、これを期に会いに行ってもいいですね。
また、炊飯器・ミキサーを使うお家では、パパも参加してもらってみんなで愉快に作って、楽しい思い出と美味しいお彼岸にしてみてはいかがでしょう。
お彼岸前後の良い季節に、チャレンジしてみませんか?