息子が、「これキレイね。ママ買って!!」と指さしたのは、雛人形でした。
息子が3歳になったばかりの頃、近所のショッピングモールに買物に出かけた時、特設コーナーに飾られていたたくさんの雛人形を見て、「欲しい」と言い出したことがありました。
その時は、「これは女の子のお祝いの時に飾るものなのよ」と説明し、なんとかなだめたものの、家に帰って来てから、私の方が、
なぜ『ひな祭り』は女の子のお祝いをする日で、雛人形を飾るのだろう…と疑問に思うようになりました。
それまでは、「雛人形=女の子のもの」と何の疑いもしませんでしたが、息子の一言で疑問だらけに! そこで、
なぜ雛祭りは女の子のお祭りで、雛人形を飾るのか、その意味や由来を調べてみることにしました。
雛人形の意味と由来
雛人形にはどんな意味があるの?
雛人形は、女の子の健やかな成長と幸せを願って作られるもので、祖父母や両親からの愛情を伝えるための贈り物のひとつとされています。
その昔、人形は厄払いのために使われていました。
藁や草などで作った質素な人形に、自分の厄を移して川に流したり、お炊き上げをしたりして、災いや厄を払いのけていたそうです。
医療が未発達だった当時は、幼いうちに命を落としてしまう子供も多かったので、両親が「我が子が成人するまで健康でいられるように」という願いを込めて、人形を作ってお祓いをしていたんですよ。
その人形が時代と共に少しずつ変化し、紙で作られるようになったり、部屋の中に飾られるようになったりしました。
現在のように、結婚式をイメージした形になったのは、天皇、皇后のように結婚して幸せになれますように!という願いも込められるようになったからなんだそうですよ。
雛人形の由来
雛人形は、前項でご紹介した
- 「厄払い」
- 「雛(ひいな)遊び」
- 「上巳(じょうし)の節句」
が合わさってできたものです。
「雛遊び」
「雛遊び」というのは、平安時代に貴族などの特別な上流階級の女の子たちの間で流行った遊びです。
紙で御殿と人形をつくり、御殿の中で人形を移動させて遊ぶ、宮中の暮らしを真似したおままごとのようなもので、人形は男女一対で作られていたようです。
「上巳(じょうし)の節句」
「上巳(じょうし)の節句」は、中国から伝わった3月3日に水辺で身を清めて、けがれを払う習慣と、古来から日本で3月に行われてきた紙や土焼きで作った人形にけがれを移して川に流す儀式とが重なり、3月上旬に各地で厄払いの儀式が行われるようになったようです。
その後、江戸時代まで時が進むと
幕府によって雛人形を飾る「上巳の節句」が3月3日に定められ
それまで男の子も女の子も関係なく厄払いを行っていたものを、女の子の幸せを願う日と決められました。それと同時に
こいのぼりや兜を飾る5月5日の「端午の節句」は、男の子の幸せを願う日になりました。
その頃になると、人形作りの技術も発達してきました。それにより、それまで主流だった“人形を川に流す”行事から、“飾るもの”に変化していったようです。
次に雛人形そのものの説明をしていきます。
七段飾りに飾られる人形や飾りが持つ意味
今では家庭環境の変化により、コンパクトサイズの雛人形を購入する人が増えていますが、以前は雛人形というと大きな七段飾りのものが、最も美しく豪華な雛壇とされていました。
各雛壇に飾られる人形や飾りと、それらが持つ意味をまとめてみました。
【一段目】
内裏雛(だいりびな)
天皇・皇后をかたどった人形。現代では、「お内裏様」と「お雛様」と言われていますが、本来は男女一対で「内裏雛」というのが正しい呼び方です。
男雛と女雛の間には、三宝(さんぽう)と呼ばれる、木で作られた台を飾ります。三宝には瓶子(へいし)が乗せられ、水引で飾られた熨斗(のし)が差してあるのが一般的。
【二段目】
三人官女(さんにんかんじょ)
お内裏様のお世話をするために、宮中に使えている侍女。
侍女は、作法や教養などを持ち合わせた人物が選ばれていたことから、お手伝いさんというよりは、家庭教師や秘書のような存在でしょうか。賢く優れた女性に育つための、サポートをしてくれます。
【三段目】
五人囃子(ごにんばやし)
能楽の囃子方(はやしかた)である五人囃子。
女の子が元気で健やかに育つように、楽器や謡(うた)などの音色を奏でてくれます。
【四段目】
随臣(ずいじん)
平安時代、貴族が外出する際に、警護をしてくれたお供の役人。
現代では「左大臣・右大臣」と呼ばれることが多いですが、正しい呼び方は随臣なんだそうです。
【五段目】
仕丁(しちょう)
仕丁は、雑用係として働く人たちのことです。
「泣き上戸」「笑い上戸」「怒り上戸」という表情豊かな3人には、情緒豊かな女性に育つようにとう願いが込められているんです。
【六段目】
嫁入道具揃(よめいりどうぐぞろい)
平安時代の、大名家の婚礼の際の嫁入り道具。
箪笥(たんす)、長持(ながもち)、表刺袋(うわざしぶくろ)、火鉢、針箱、鏡台、茶道具が並べられます。
【七段目】
御輿入れ道具(おこしいれどうぐ)
婚礼行列に使われる道具。
御駕籠(おかご)、重箱、牛車(ぎっしゃ)が並んでいます。
六段目と七段目には、豊かな人生を送れるようにという願いを込めて、お道具がたくさん飾られます。
雛人形に関する意味と由来は、大体おわかりいただけたでしょうか? 次は実際に雛人形を選ぶ際のポイントをお伝えしたいと思います。
雛人形の失敗しない選び方とひな祭りのポイント
雛人形の選び方
女の子の健やかな成長と幸せを願って飾る雛人形。願いを込めて贈ったものを、何度も買い替えるわけにはいきませんよね。
そこで、失敗しないために、雛人形を選ぶ際のポイントも、ご紹介しておきたいと思います。
【サイズ】
飾る場所だけでなく、収納場所も考えて大きさを選ぶようにしましょう。
飾り台に、全ての人形や飾りを収納できる「収納飾り」や、透明なケースの中に全てが飾り付けられた状態の「ケース飾り」などもありますよ。
【予算】
雛人形は、手軽に買えるものから、手間暇かけて高価な材料を使って作られたものまで様々な種類があります。あらかじめ、ある程度の予算を考えてから選んだほうが、選びやすいかもしれません。
【人形の種類】
実際の人形に人形用に仕立てた衣装を着せた「衣裳着雛人形」や、桐の粉と糊を固めて人形の原型を作って、そこに着物の記事を押し込みながら衣装を着せていく「木目込み雛人形」など、雛人形にはいくつかの種類があります。
見た目や、手入れのしやすさ、表情など、種類によって違いがあるので、好みのものを選んでくださいね。
雛人形を飾る時期はいつからいつまで?
雛人形は、立春から、遅くとも2月中旬くらいまでに飾り始めるのが一般的です。
飾り付けをする日に、特にきまりはないようですが、大安を選ぶという家庭も多いようですね。
雛人形を飾る時期は、地域ごとさまざま
3月3日のひな祭りを終えたらすぐに片付けるところもあれば、4月上旬の旧暦のひな祭りの頃まで飾っておく地域もあるようです。
◎雛人形を飾る時期、片付ける時期については、こちらで詳しく説明しています。
ひな祭りには何を食べる?
ひな祭りでは、菱餅(ひしもち)やひなあられを食べますよね。他にも、ひな祭りで食べると良いとされている伝統的なお祝い料理は、たくさんあります。
たとえば、ちらし寿司、てまり寿司、はまぐりのお吸い物などは定番と言えるのではないでしょうか。
これらの、ひな祭りで食べると良いとされている食べ物にも、それぞれに由来や意味があるんですよ。
◎ひな祭りの食べ物、そしてその由来について… 美味しそう!
>>> ひな祭りの食べ物の由来!定番からちょっと贅沢な縁起物まで大紹介
おっと、こんなご意見もあります。「雛人形はいらない」
雛人形は、「飾りたいけど、飾れない!」解決策が見つかるかもしれませんよ。
「雛人形はいらない」その理由は?
女の子がいる家庭に対して行った、あるアンケートによると、家に雛人形があると答えたのは、約87%だったそうです。
多くの家庭では、女の子が産まれると雛人形を購入するようですが、中には「いらない」という選択をする家庭も!
時代に合わせて、コンパクトな物も多く出回ってはいますが、予算や住居環境などの理由により、そのような決断をする親御さんも珍しくないようです。
いずれにしても、子どもを想う気持ちが一番重要と言えるのではないでしょうか。
◎いろんなケースを紹介してありますので、何らかの解決策が見つかるかも?!
>>> 雛人形はいらない!でも…やっぱり買うべき?じいちゃんばあちゃんが
◎男のお子さんは、こんなことが気になりますよね。
>>> 破魔矢を男の子に買うの?買わない?飾る時期と片付ける時期はいつ?
まとめ
雛人形が、女の子の幸せを願うために作られたものだということを知れば、ひな祭りが女の子のお祝いとして定められたということも理解できますよね。
しかし、元々は男女関係なく厄払いをしていたということもあり、子どもが男の子だけであっても、折り紙などで雛人形を作って飾り、ひな祭りメニューでお祝いするという家庭も少なくないようですよ。
お祝いというのは、多ければ多いほど楽しいものですよね。ひな祭りには雛人形を飾り、みんなで楽しくお祝いしませんか?