「コンビニでお買物して、帰宅してからお釣りを多くもらった事に気が付いた!」と、知人から相談をされました。
以前「お釣りを多くもらって逮捕される」というニュースを聞いた事があり、故意ではないとはいえ、お釣りを多く持ち帰ったのは事実だし、自分も逮捕されるかも、と不安に思っている様です。
私もお釣りを多く渡されたり、逆に少なかったりした事がありますし、接客経験があるので私自身がお客様にお渡し間違いをしてしまった事もあります。
さすがに逮捕された事はないですし、
そもそもどんな罪状で逮捕に至ったのか疑問に思い、調べてみました。
お釣りを多くもらったら逮捕されるのか?
知人の言う、お釣りを多く受け取った事で逮捕される事件があったのかを調べたところ、該当する事件が2件見つかりました。
過去の事件
1件目
1件目は、2015年にコンビニで13,000円の会計に1万円札1枚、5千円札1枚を渡し、店員が1万円札1枚、5万円札1枚をお預かりしたと勘違いしてお釣りとして4万6千円を渡し、受け取ったお客様は間違いを申告しないまま持ち帰り、逮捕!
ここで疑問に思ったことは「5万円札?」そんなのないでしょ!
しかし、アルバイト店員は15歳と若く、大きなお金を手にする機会があまりないので、パニック状態になってしまい間違えてしまったのかもしれません。
2件目
2件目は、2017年には携帯電話料金の支払いに10万5千円を渡し、店員が15万円とレジを打ち間違い、お釣りとして4万5千円を渡し、こちらも間違いを申告せずに持ち帰り、逮捕!
では、罪状はどうだったのでしょう?
罪状は?
どちらも罪状が「詐欺罪」でした。
ここで私の中で二つの疑問が生まれました。
まず、お釣りを多く持ち帰ってしまう行為がなぜ詐欺罪にあたるのか、という疑問です。
どの法律に触れるの?
調べてみると、
お釣りを通常よりも多く受け取る事は民法第703条の「不当利得」にあたります。
そして、その場でお釣りが多いと気付いているにも関わらず申告せずに黙っている事が刑法第246条1項の「詐欺罪」にあたります。
また、お店を出た後に気付いたのに返金しなかった場合は、刑法第254条の「占有離脱物(遺失物)横領罪」にあたります。
要するに、
- 間違いを伝えない事が相手を騙して損をさせたとみなされて「詐欺罪」となり
- 間違っている事に気付かず持ち帰ったが返さない事が相手の所有物を返さなかったとみなされて「占有離脱物(遺失物)横領罪」となるわけです。
ちなみに
- 「詐欺罪」は10年以下の懲役
- 「占有離脱物(遺失物)横領罪」は1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料
だそうです。結構重い罪ですよね。
では、前述の2件は「占有離脱物(遺失物)横領罪」ではなくなぜ「詐欺罪」での逮捕となったのかを調べてみると、どちらも「お釣りが多いと気付かず持ち帰ってしまった」と「占有離脱物(遺失物)横領罪」を主張しています。
しかし
- 「お釣りを数えて確認している姿が防犯カメラに映っていた」
- 「1万円札をお釣りで渡される事は常識的にあり得ない」
- 「その場で気が付くのが普通であり気付いていたのに申告しなかった」
との理由から、両者の主張である「占有離脱物(遺失物)横領罪」ではなく「詐欺罪」での逮捕に至ったようです。
こんなことも知っておくと良いかも?
では、店員にはなんのおとがめもないのでしょうか?
店員は罪に問われないの?
次に、店員に罪はないのか?という疑問です。
そこでいろいろと調べてみましたが、
「お釣りを多くまたは少なく渡し、お店またはお客様に損をさせよう」という意思がない限り、店員側は罪には問われないそうです。
「お札を数え間違えた」「金額を見間違えた」等、忙しくてパニックになってしまうのが理由のケアレスミスでレジ誤差が出る事が多いですし、パニック状態なのに「損をさせてやろう」なんて思う方が稀ですよね。
法的には罪にはなりませんが、その代わり
- 始末書やお説教
- ミスをした店員自身が不足分を補填
- あまりもミスが多ければ解雇等
会社によってまちまちですがペナルティがあるのが一般的です。
罪に問われないために
この仕事でお給料を頂いているプロだと自覚を持ち、不安に思ったら何度でも確認をする事で、ある程度のミスは防げます。
罪に問われない為にはどうしたら良いか、考えてみました。
店員側は、お客様に優良なサービスを提供する事、特に金銭授受は間違いのない様に細心の注意を払うのが当たり前です。
年齢や社歴また、お客様の中には「間違いがなくて当然」と信用してくださり、確認しないままお財布にしまう方も多くいらっしゃいます。
ミスがあると店員自身だけでなくお店や会社全体の信用に関わりますし、相手に罪を犯させない為にもお客様の代わりにしっかり確認する事が大切です。
お客様側も、最近はお会計中でもスマホに夢中で、お釣りを確認しないままお財布にしまっている方も多いです。
- 「間違いがなくて当然」
- 「お釣りの確認は面倒くさい」
- 「時間がない」
等、様々な理由があると思いますが、もしそのお釣りが多かった場合、受け取った時点で「占有離脱物(遺失物)横領罪」に該当してしまいます。
面倒がらずにしっかり確認する事が大切です。
また、お釣りが少なかった場合、持ち帰った後にお釣りが少ないと気付いてもお釣りが多かった時以上に言いに行きにくいですよね。
店員もお客様もお会計に間違いがないかしっかり確認すれば、事件の当事者になる事なくお互いに気持ち良くお買物ができると思います。
まとめ
「お釣りが多いのを気付いていながら申告しない」という行為が想像以上に大きな犯罪行為になる事にかなり衝撃を受けました。
そして、降ってわいた様にお金が余分に現れたら、それが少なくない金額だったら、つい出来心で貰ってしまおうという心理が働いてしまうのかもしれないな、と思いました。
でも、それは立派な犯罪です。たった数万円で人生を棒に振らない為にも間違いに気付いた時点ですぐに申告し、持ち帰ってしまった場合はすぐにお店へ返金に行きましょう。