お寺で精進料理が食べられている理由!その歴史や現状まで徹底解説!

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ラン
健康な食事について調べていくうちに「精進料理」にたどりつきました。

何となく「野菜中心の料理」という理解をしていたものの、再び「精進料理」という言葉を目にして「本物の精進料理ってどんなものだろう?」

と興味を持つようになり、あるお寺で開かれていたイベントへ足を運びました。

そこで精進料理をいただいたとき「あ、魚だ!」と思って食べた物は大豆を魚に模して造られた物。

ちょっと期待外れで残念な気持ちに駆られてしまいました…。

もちろん残さずに全ていただきました。(笑) が、やはり肉や魚は出ませんでした。

「どうしてだろう?」と分からないことや、「もっと知りたい!」と思ったこともあり、自分が調べたことや僧侶さんに聞いた話から

「精進料理」について今まで誤解していたこともたくさんあったことに気が付きました。

そして、気づきだけではもったいないので、、私と同じように精進料理に興味のある、「あなたの参考になれば!」という思いと、備忘録の意味合いもあり記事にしてみました。

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お寺で食べられている精進料理

そもそもなぜお寺では精進料理が食べられるのでしょうか。

その理由をご存知ですか?実は、精進料理には「肉や魚を抜く」ということ以外にも、様々な思いや意味が込められているのです。

お寺で精進料理が食べられる理由

精進料理とは

精進料理とは、仏の道を極めるため、贅沢な食材を除いた料理のことをいいます。

肉や魚を使わず、野菜、豆類、穀類を使って作られた料理です。

仏道修行に努め、悟りを極めるための料理とも言われています。時代や地域にもよりますが、五葷(ゴクン)と呼ばれる刺激の強い野菜や乳製品も避けて作られます。

五葷(ごくん)とは、にんにく、にら、ねぎ、玉ねぎ、らっきょう、などの野菜のことを言います。

なぜ精進料理を食べるの?

仏教では、殺生が禁じられており、肉や魚は食べられないため、野菜中心の食事となります。

「精進=修行に励む」という意味があり、僧侶が正しい仏道を歩み、仏道修行に集中できるようにという意味も込められています。

ラン
お坊さんの修行時は特別として、現代人にはむずかしいですね。

お寺では、精進料理を作ることも重要な修行

お寺での修行には、あなたがよくイメージする、手を合わせて寒さに耐えながら滝に打たれる「滝行」や、正座して目を瞑り、肩をバシッ!と叩かれる「座禅」、上記でも少しご紹介した「精進料理」、他にも「写経」「断食」など、様々な種類があります。

他の修行と同じように「精進料理」を作ることも、重要な修行の一つとされているのです。

精進料理を作る

精進料理を作ることや食べることは、他の修行と同じように重要な修行の一つとされています。

作る者、食べる者への思いや、恵まれた食材への感謝、道具の使い方や手間のかけ方など、常に仏道を求める姿勢で精進料理と向き合わなければなりません。

調理するときに必要な『三心』とは

聞き慣れない言葉ですが、精進料理を作るときには、

「喜心(きしん)」「老心(ろうしん)」「大心(だいしん)」の三つの心をもって調理をしなければならないとされています。

この「三心」には、以下のような意味が込められています。

  • 「喜心」食材の恵みに対しての喜びや、料理が出来る喜びのこと。
  • 「老心」料理を召しあがる人のことを思う「おもてなし」の心。
  • 「大心」広い寛大な心、親切で丁寧な心掛けと作法のこと。

作る人は食べる人を、食べる人は作る人を思って食べるということや、食材への感謝の気持ちなどが込められた意味です。この「三心」をもって精進料理を作るということも、立派な修行の一つなのです。

食べていいもの、ダメなもの

精進料理では、

  • 動物性の食材の肉や魚
  • 乳製品
  • 五葷(ごくん):刺激の強い野菜

などは使用されません。

精進料理は、植物性の食材のみを使用します。

大豆やきのこ、季節の野菜などが中心に使用され、加熱をしていないといけません。

たとえ手間のかかる調理法でも、その素材の良いところを引き出し、無駄のないように作るということが大切なのです。

使われる食材の中でも、特に大豆は栄養価が高いため、積極的に取り入れられていました。

しかし、同じ調理法ばかりでは食べる方が飽きてしまうため、素晴らしい調理技術、発酵技術で

豆腐、油揚げ、納豆、湯葉、豆豉(トウチ)、味噌、醤油などが生み出されました。

精進料理はいつ食べられるの?

精進料理のことを調べていくと

  • 「肉や魚を摂らない食事で、栄養のバランスはとれているの?」
  • 「僧侶さんは、いつも精進料理を食べているの?」

と、疑問に思うことも増えてきます。

実は、僧侶さんの食事を「精進料理に限定する」ということは、今の時代は少ないようです。

毎日精進料理なの?

毎日精進料理を食べている僧侶さんもいますが、今の時代は

  • 「修行をしている期間だけ」
  • 「お寺にいる間だけ」

など期間を決めて食べられているそうです。

ノリ
私は以前、比叡山延暦寺に二泊三日でお世話になったことがあり、修行させていただきました。

座禅、写経、説法、千日回峰行の経路散策等、厳しかったですが、いい思い出です。

三日目の朝食にマヨネーズを使ったマカロニサラダが出たのですが、とても美味しく感じました。

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昔は葬式などがあれば、その親族は四十九日間精進料理を食べるという決まりもあったようですが、今では精進料理を四十九日間食べ続けることは大変なので、お葬式が終わった日に精進落とし(精進料理を終える食事)をする。のが一般的なようです。

肉や魚を食べる日はあるの?

修行中は、肉や魚など精進料理で禁止とされているものを食べることは基本的にないようですが、地域や考え方によって決まりは違うようです。

修行をしている間は休日も一切食べないという方や、修行中の休暇の日には食べるという方など、色んなパターンがあるようです。

食材は無駄にしない

精進料理は、食材のありがたみを重んじる料理でもあるので、無駄な使い方をしたり、廃棄物を出したりしないということも大切な考えの一つです。

どうしても食べられない部分や、お茶碗に残った食材などは以下のようにして片付けていきます。

野菜の食べられないところは土に返す

精進料理では、野菜の皮やヘタの部分も無駄にせずに使われます。

種などのどうしても食べられない部分は、捨てたり燃やしたりするのではなく、土に返します。

土に返し、やがてその土が栄養を蓄え、また新たな野菜を作るのに役立つのです。

小動物の餌にするために庭などにまく

食材の食べられなかったところは、土に返すという方法の他に、庭にまくという方法もあります。

これは捨てるのではなく、虫や小動物の餌として自然へ返すという意味が込められています。また、この方法は餓鬼を供養するお施餓鬼に通じるものもあります。

たくあんでお椀の中を洗う

一般の家庭では食事のあと、スポンジに洗剤をつけて食器を洗っていきますが、お寺ではそういうわけにはいきません。

食器にわずかに残った食材さえも無駄にすることなく全ていただくのです。

食べ終わった食器にお湯を入れ、たくあんで食器についた食材をきれいにはがしとります。

「えぇ~」と思うかもしれませんが、そのお湯は全部飲み干すのです。そこまでやり終えて、ようやく「御馳走様でした」となります。

食べることの記事もたくさん書いてますよ。

精進料理には和菓子が良いですね。

>>>「食べる」一覧

精進料理の歴史と現状

精進料理は、どこから伝わり、いつごろから食べられているのでしょうか。時代によって、また地域によって形を変えながら伝わってきた精進料理は、今の日本食の基本となるものだったのです。

精進料理の歴史

日本に伝えたのはだれ?

道元が仏教の勉強をしに宋へ渡りました。宋では料理や日常の行いについて学び、日本に帰ったあと「典座教訓」「赴粥飯法」を書き、そこから精進料理が生まれたと言われています。

いつ頃伝えられたの?

精進料理は、今から約800年前の鎌倉時代に伝えられたと言われています。

平安時代までは、調理された食材に調味料をかけるという薄い味つけでした。

しかし、鎌倉時代に伝わった精進料理は、野菜中心とはいえしっかりとした味付けで、体を酷使する武士たちに満足のいく料理だったそうです。

それから、精進料理に使われている味噌や醤油は、日本料理そのものに積極的に取り入れられるようになりました。

 精進料理の現状

健康思考が広がっている今、肉や魚を使わない精進料理は注目を集めています。

ダイエットをするのにも、健康な体を保つためにも、精進料理はピッタリなのです。

また、日本のみならず外国のベジタリアンやヴィーガンからも注目され始めているのです。

精進料理が食べられるお寺が増えている

精進料理は、家で作るにもどうしたら良いのか分からない部分や、難しい部分もあります。

しかし、今では色んな所で食べられるようになっています。

レストランで食べられるところもあれば、お寺で精進料理を振舞ってもらえるところもあります。

若い女性を中心に人気

若い女性を中心に、ベジタリアンやヴィーガンという食事のスタイルの方が増えてきています。

精進料理は、まさにベジタリアンやヴィーガンの食事をする人たちにピッタリで、健康的な料理だということが世界的に有名になっているのです。

和食でおもてなし!ベジタリアンカップル

精進料理が食べられる人気のお寺

最後に、精進料理が食べられる人気のお寺を3つご紹介します。

もちろん下記のお寺以外にも精進料理を振舞ってくれるお寺はたくさんありますので、本格的な精進料理を食べてみたい方や、精進料理について知りたい方は、是非一度お寺へ足を運んでみてください。

三光院(東京都)

都会を少し忘れ、ゆったりと流れる時間を感じながら繊細な器でいただく精進料理は、身も心もほっとさせてくれます。

峯寺(島根県)

精進料理をいただくときは予約が必要です。まずは抹茶が振舞われ、趣のある景色とともに精進料理を頂くことができます。

文殊仙寺(大分県)

文殊仙でとれる季節の山菜を中心に作られた文殊仙寺の精進料理は絶品と評判です。予約は四人からの受付となっています。

まとめ

いかがだったでしょうか。

精進料理は、私たちが思っているよりも深く、色んな歴史が重なり、色んな意味や思いが込められているのです。

精進料理について正しく知り、いただくことで、これまでの食事生活や食事ができることのありがたみなどを改めて感じることができます。

食材の無駄遣いの多い今、この精進料理の意味を理解し、形のあるものに限らず、いろんなものを大切にする気持ちになっていただければ幸いです。

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