年齢を重ねるにつれ、法事に出向く機会が増えてきました。
初めてのことだし、お坊さんの食事といえばてっきり特別なもの(精進料理)とばかり思っていたので、どうすればよいのか慌てた記憶があります。
地域の年配のおばさま方に聞いたところ、
「昔は精進料理だったけど、今は法事向けの料理なら大丈夫なのよ!」と教えてくれて、なんとか無事に済ませることができ一安心。
知らないと、いざと言うとき大変な思いをしたり恥をかいたり、なんてことも大ありですよね。
お坊さんや参列者に失礼のないよう、法事・法要の会食についてまとめてみたので、よかったら参考にしてくださいね。
法事・法要の際のお坊さんとの食事について
法事を行うとなれば、準備が大変!日を決めるところから始まり、人数確認、粗供養やお供え物、お坊さんへのお布施と…。私の住む地域の風習では、自治会などへ志も準備します。
そして、「会食をどのようにするのか」こちらも大切な準備の一環、そんな法事・法要の会食について、さっそくお話を進めていきましょう。
法事・法要の際の会食「お斎(おとき)」
法要とは、お坊さんのお経による供養を、そして、その後の会食も含めた一連をまとめて法事と言います。
そして、お坊さんも含め、法要後に来てくれた人たちを招いての会食、これを正式には
「お斎(おとき)」と呼び、参列者に感謝を表すとともに、故人との思い出を話しあい偲ぶ場となります。
「お斎」は仏教での「斎食(さいじき)」という決まった時刻にとる食事をさす言葉に由来し、その意味には法事・法要の際の食事が含まれるとされています。
食事はどんな物を用意するの?精進料理??
お坊さんの食べる料理として有名な精進料理、昔の法事ではほとんどがこの精進料理でした。
精進料理は、動物性の食べ物は使わず、植物性つまり野菜・穀物を使った粗食です。
しかし最近の法事では、お肉や魚といった動物性の食品も食べる傾向にあり、次のような料理が多く用意されています。
- お寿司
- 仕出し
- 懐石料理
ここで気を付けたいポイントは、
気をつけるべきポイント
お祝い事によく使用される食材は、お斎には好ましくないということ。その点を考慮するためにも、
お店を予約するときは、法事の会食である旨を伝えておくと良いでしょう。
次は席次です。
食事の時、お坊さんの席はどこ?
日本古来の礼儀作法のひとつ、「上座・下座」って言葉、聞いたことがありますよね。
この上座こそが、法事の場でのお坊さんの席で、出入り口から一番遠く、床の間のある部屋なら床の間に一番近い席にあたります。
そしてその隣には、お坊さんと話ができるよう、法事を取り仕切る施主が座るのが本来の形。
お斎の席順を上座から順にまとめると、こうなります。
お斎の席順
- お坊さん
- 施主
- 親族以外の参列者
- 親族
お坊さん、施主をのぞけば、
故人により関係が近い人ほど、下座の出入り口に近い位置に座ることになります。
といってもお坊さんも忙しく、参加されないケースもよくありますので、そんな場合は、臨機応変に好きなところへ座ってもらっても構わないそうですよ。
食事中のマナー
お斎の開始は、施主の挨拶をきっかけに始めるのが基本です。
お祝い事では食事前、乾杯!といってグラスをかわしますが、
法事では故人に敬意を捧げる「献杯(けんぱい)」という作法があります。献杯については次の動画が参考になりますので、よかったらご覧ください。
献杯は乾杯ではないので、拍手や派手なリアクションは必要ありません。
また、お酒が苦手な人は飲まなくても大丈夫ですよ。
お坊さんへの配慮としては、お酒は宗派によりけりなので、勧めるのではなく、
「お飲み物はどうしましょうか?」と伺うようにしましょう。
お坊さんが食事を辞退されたら?
ここまで、お坊さんとの会食を前提にお話ししてきましたが、先ほども言ったようにお坊さんは忙しく、会食を辞退される場合が多く見受けられます。
その際には、料理の代わりとなる「御膳料」をお渡しするのが礼儀です。
御膳料は、お布施とは別に用意しておくのがベストで、お経が始まる前にお布施の包みと重ねて(お布施が上になるように)準備しておきます。
相場は5000円~1万円ですが、御膳料はお斎の代わり、実際の料理に近い金額を入れておけば問題ありません。
少し気が早いですが、お彼岸に関する豆知識です。
法事・法要後の会食に関する豆知識
「法事」というと、お坊さんの素敵な声のながーいお経を聞きながら、その間生前の故人を思い出しうるっとさせられ、そうかと思えば途中慣れない正座に足がしびれて一苦労…。
お焼香の順番がまわってきたら、なぜかちょっと緊張してしまう私(笑)
そんな法要の後の会食、服装についても気になるところです。
お斎の時の服装は?
お斎は法要後、みんなで食べる会食ですので、特別着替える必要はないそうです。
喪服など普段着慣れない服装だと、落ち着かないことありますよね。そんなときお斎では、
上着を脱いだり、楽な服装に着替えたりしても大丈夫。
そもそも、お斎は参列者に感謝を伝える会食、みなさんにくつろいで食事をしてもらえるようにと、施主側が自ら上着を脱ぐなんて配慮は、「参列者も服装を崩しやすくなる」という気配りになります。
料理の金額相場や場所選び
料理の相場
法事の種類にもよりますが、3000円~7000円が一般的な相場。
三回忌以降になれば、ごく少数の親族で執り行うことが多いのですが、四十九日や一周忌といった故人の別れに近い法事は、親族以外にもお世話になった友人、知人を招くこともしばしば。
失礼のない無難な相場は、御膳料の相場と同じく、5000円程度と覚えておくと良いでしょう。
場所選びのポイント
私が子供の頃の法事後の食事といったら、三角巾に割烹服のおばさま方が作ったお手製の料理をみんなで食べたことを思い出します。
最近はあまり見ない光景ですが、お寿司や仕出しを注文しておいて自宅でいただくことは、今でも珍しくありません。
高齢者や移動に困難な人には移動のわずらわしさがなく、また、時間制限も気にせずにゆっくりできるメリットがあります。
一方お店なら、日本料理店での懐石料理、ホテルのレストランなどがよく使用されています。
人数に見合った場所を確保すことができ、時間制限があるので人数が多ければ多いほどまとめやすい!
しかしお店のグレードによっては、7000円~15000円と相場が上がってしまう可能性があるといいます。
しっかりと予算をたてた上でお店を選ぶようにしましょう。そして、場所の確保は早めに始めるのもポイントのひとつ!
人数が決まり次第、遅くても、法事の2週間前までには決めておきましょうね。
返礼品について
法事では、お斎が終わり参列者の帰るタイミングで、お礼の言葉とともに返礼品を手渡しするのが基本。
一般的な法事では、お供えとして参列者が包んでくれる金額の多くが10000円です。お返しはその半額といわれており、お斎も招待したのなら2000円~3000円程度が相場になります。
返礼品として多くの人が選ぶものには、次のような品物があります。
一般的な返礼品
- お菓子
- 消耗品(タオルやハンカチなど)
- 実用品(洗剤など)
- お茶やコーヒー
- カタログギフト
お菓子は、できるだけ日持ちのするものを。
消耗品、実用品は、誰しも使うものなのでもらう側にとってはありがたい品物が多く、消耗品には「悲しみを残さない」、実用品のように使えばなくなるものは「消え物」といわれることから、法事の返礼品によく使用されているようです。
一方、カタログギフトは、持ち帰るには最適で好きなものを選べる利点の反面、目上の方の中には手抜きと受け取られてしまうこともあるのだとか。
他にも、故人を思い出し懐かしんでもらえるようにと、
「故人が生前好きだったもの」なんて粋な返礼品も見受けられます。
まとめ
法要後の会食「お斎」は、故人を思い出しながら、お坊さん、参列者へのお礼の感謝を込めたおもてなしの場。
さらには、普段なかなか顔を合わす機会のない親戚や、故人がお世話になった人と直接お話できる場でもあります。
みんなで思い出話に花をさかせ、それぞれの近況を報告しあって、「これからも変わらぬお付き合い」をしていただけるようにと、和やかな会食を心がけてみてくださいね。