中華って、和食のマナーとは全く違う独特のマナーがあるんですよね。最近も、そのマナーを知らずに回転台を左右にクルクル回したり、全員分を立って取り分けたりしている若者を見かけました。
それを見た時に、私も就職したての頃、初めて上司と会食した際に、知らないことばかりで恥ずかしい思いをしたなぁ…と当時のことを思い出したので、まだまだ意外と知られていない中華料理のマナーについての記事を書いてみることにしました。
中華料理の食べ方とマナー
中華料理店の基本的なマナー
まずは、最低限知っておきたい基本的なマナーからご紹介していきます。
【席次(上座)】
多くの中華料理店には、回転台が付いた円卓がありますよね。
丸いテーブルなので、何処に座っても同じように感じるかもしれませんが、中華にも席次はちゃんとあります。
入口から一番遠い席が上座、入口に近いほど下座になります。主賓が到着するまでは、入り口付近で待ち、位の高い女性から順に席につくようにしましょう。
【全員に行き渡るように自分の分を取る】
料理は主賓が最初に取ります。その後、回転台を時計回りに回して順に取っていくのですが、その際全員に料理が行き渡るよう、取り過ぎないように注意することも大切です。
自分が好きだからといって、たくさん取ってはダメですよ。全員に行き渡った後、残っていた場合におかわりするのはOKです。
【取り皿は料理ごとに替える】
和食では、目の前に用意された取り皿に、様々な料理を取り分けて食べることがありますが、中華料理では、料理の味が混ざらないように、料理ごとに取り皿を変えるのがマナーとされています。
お皿は何枚使っても構わないので、料理ごとに必ず取り替えるようにしましょう。
【主賓や年長者が食べてから食べる】
料理は、自分の分を取ったらすぐに食べていいという訳ではありません。まずは、全員に行き渡るのを待ちましょう。
その後、主賓や年長者が食べ始めたのを確認してから食べるのがマナーです。
【麺類はレンゲを使う】
麺類を食べる際には、利き手で箸、反対側の手でレンゲを持ち、麺を一度レンゲに取ってから食べるのが、中華料理のマナーの基本です。
スープを飲む時には、箸を置いてレンゲを利き手に持ち替えてくださいね。
基本的なマナーを覚えたら、次はNGマナーです。会食の際に、恥ずかしい思いをしないためにも、これもしっかり覚えておきましょう。
日本人なら、これも身につけておかねば!
中華料理のNGマナー
【回転台は反対に回さない】
回転台は、基本的には時計回りで回していきます。
料理を取り分けている最中に、反対回りに回すことはやめましょう。
全員に料理が行き渡った後、まだ残っているのであれば、食べたい人が料理を取ることができますが、その際には反対に回してもマナー違反にはならないそうですが、慣れるまでは常に時計回りに回すと覚えておくと安心かもしれませんね。
【回転台に自分の皿やグラスを置かない】
回転台の上は、料理の大皿や調味料など、みんなで共有するものを乗せるスペースです。置く場所がないからといって、自分の皿やグラスなどを置くことはマナー違反になるので、やめましょう。
また、例えみんなで共有するもであっても、倒れやすいビール瓶などは置かないほうがよいでしょう。
【回転台の料理を立って取る】
回転台の上に乗せられた料理を取る際、座ったままだと取り辛いと感じる人も少なくないでしょう。しかし、立って取ることは見苦しい行為とされているので、絶対に避けたほうがよいでしょう。
できるだけ料理が近くにくるように、回転台を回して料理を自分の正面に移動させ、座ったままで取るようにしてくださいね。
【取り皿や器は持ち上げない】
和食では、取り皿は持って食べてもOKですが、中華ではお皿や器は置いたまま食べるのが基本です。汁が垂れてしまいそうな時には、レンゲを使って食べるとよいでしょう。
料理を取り皿に取り分ける時にも、取り皿は置いたまま行ってくださいね。
【取り皿に取った料理を残す】
中華料理は、大皿から食べたい分だけ取り皿に取り分けて食べるのが基本。自分で好きな量を取り分けているのですから、それをそのまま残すのはNGです。
取り皿の料理は、全て残さず食べましょう。
中華料理の食べる順番とそれぞれのマナー
中華料理をコースでいただく際には、前菜、スープ、主菜、主食、点心という流れが基本になります。
それぞれの料理の特徴や食べ方、マナーについても解説していきますね。
【前菜】
お皿に数種類の料理が盛り付けられ、料理がなくなるまでテーブルの上に置かれたままになっています。
できるだけ盛り付けを崩さないように気をつけながら、食べる分ずつ取り分けていただくようにしましょう。
【スープ】
全員分が大きな器にまとめて入れられています。これも他の料理と同様、スープ用の器に食べられる量を自分で取り分けましょう。
ひと口で飲める量をレンゲですくい、音を立てないように注意しながらいただいてくださいね。
【主菜】
魚介類や肉などの炒め料理や蒸し料理などが出されます。数種類の料理が出された場合には、味の薄いものから食べると、それぞれの味を十分に楽しむことができますよ。
北京ダックや海老料理などは手で食べてOKです。
北京ダックの食べ方を紹介している動画があったので、紹介しますね。
【動画】北京ダックの食べ方
【主食】
主食となるご飯類は、レンゲですくって食べましょう。残りが少なくなり、取り辛い時でも、お皿を持ち上げてはいけません。お皿の手前を少しだけ持ち上げて、奥の方へすくうと取りやすいですよ。
【点心】
春巻きや餃子、また杏仁豆腐といったものがデザートとして出されます。数種類出された時には、塩味のものからいただき、最後に甘いもので口直しをするとよいかもしれませんね。
中国茶の飲み方
脂っこい中華料理には、脂肪を分解してくれる効果が期待できる中国茶が欠かせません。
中国茶は、食後に出されるのではなく、料理を食べている最中に一緒にいただきます。
中国茶は、急須に入れて出される場合と、湯飲み茶碗に入れて個々に出される場合があります。
湯飲み茶碗に入れられている場合、茶葉も一緒に入っていることがあります。そのまま飲むと口の中に茶葉が入ってしまうので、茶托ごと持って、蓋を少しずらして飲むことをオススメします。
急須に入れられている場合には、回転台の上に置かれているので、料理と同じように飲みたい分ずつ自分で注いでいただきましょう。注ぐ際には、日本茶を注ぐように、急須の蓋を抑えて注いでくださいね。
中華料理は、自分で食べる分は自分で取り分けるのが基本ですが、中国茶に関しては、自分が注ぐ際に、両隣の方についであげてもOKですよ。
急須の中身がなくなったら、蓋を少し右側にずらして置いておきましょう。おかわりのサインなので、お店の人が新しいものを持ってきてくれるはずですよ。
知っておきたい中華ならではのマナー
中華ならではのマナーについて知ろう!
和食や洋食ではマナー違反とされることでも、中華ではOKという中華ならではのマナーがあります。
こちらも、ちょっとした豆知識として覚えておいてくださいね。
【骨を置くのはテーブルの上?】
中華料理では、魚や肉の骨や種など、食べられない部分を残す際には、テーブルの上にそのまま置いてもマナー違反にはなりません。
抵抗がある人は、もちろんお皿の上に乗せてもOKですよ。
【テーブルクロスやナプキンは汚す】
和食や洋食では、テーブルの上は汚さずに綺麗に食べるのがマナーですが、中華料理では、テーブルクロスやナプキンを汚すことは、食事が美味しかったことを示す行為とされています。
無意識のうちに、ついつい綺麗に食べることを心がけてしまう日本人にとっては、驚きのマナーですが、遠慮せずにどんどん汚したほうが、お店の人も喜ばれるんだそうですよ。
【使用済みの皿は重ねて置く】
中華料理は、料理ごとに取り皿を変えるため、何枚もお皿を使うことになります。和食では、食器に傷がつくので、重ねるのはNGとされていますが、中華料理を食べる際に使った取り皿は、重ねて置いてOKなんです。
テーブルの上に、お皿が何枚も置かれていると、食事の際に邪魔になることもありますよね。食べ終えたお皿を、重ねて置くことで、スペース確保にもなりますよ。
【会話を楽しむ】
中華料理は、単に料理を味わうことを楽しむものではなく、会話を楽しみながら食事をすることが重要とされています。
会話が中断することなく、にぎやかに楽しみながら食事をすることを心がけるようにしましょう。
レンゲの正しい使い方
中華料理は、お箸とレンゲを使っていただきます。
レンゲは必ず使うものなので、正しい使い方も覚えておくとよいでしょう。
【持ち方】
中華料理を食べる時以外には、あまり使用することがないレンゲ。使う時には、スプーンと同じように持っている人も少なくありませんが、実は、これは正しい持ち方ではありません。
レンゲは、柄の溝の部分に人差し指を入れ、親指と中指で挟むようにして持つのが正しい持ち方なんです。
慣れるまでは持ち辛いと感じるかもしれませんが、会食は中華が多いという人は、ぜひ習得しておきたいですよね。
【使い方】
料理は、ひと口で食べられる分ずつすくって食べましょう。レンゲの先を口に対して直角に当てるのはマナー違反です。だからといって、真横では口の中に入れ辛いので、少し斜めにすると、食べやすいですよ。
スープを飲む時には、レンゲを傾けて音を立てないように飲みましょう。口を大きく開けて、レンゲごと口に入れてスープを飲むのもNGですよ。
地域ごとに違う中華料理!それぞれの特徴を知ろう
中華料理には、地域ごとに様々な特徴があります。その中から、日本人にも馴染みのある、代表的なものをご紹介します。
【北京料理】
黄河流域で一般的に食べられている北京料理は、中国王朝の宮廷料理がルーツとされています。濃厚な味付けと豪華な盛り付けが特徴で、代表的な料理は、チンジャオロース、餃子、北京ダックなど。
【広東料理】
あっさりとした味付けで、素材の持ち味を活かしている中華料理の中で最もポピュラーな広東料理。代表的な料理は、ふかひれスープ、八宝菜、酢豚など。
【四川料理】
辛さが特徴的な四川料理は、長江上流の盆地で発達した料理。暑さや寒さが厳しいこの地域では、山椒や唐辛子を多く使った料理が好まれています。代表的な料理は、エビチリ、麻婆豆腐など。
【上海料理】
上海や蘇州などでよく食べられている上海料理。淡白な味付けを基本としてはいますが、この地域は、醤油の特産地でもあるので、甘辛く濃厚な味付けの料理も多数あります。代表的な料理は、上海ガニ、小籠包など。
まとめ
記事の中で、回転テーブルについてのマナーをいくつかご紹介しましたが、中華料理店の必需品ともいえるこの回転テーブル、実は日本発祥なんだそうですよ。
子どもの頃、中華料理を食べに行くと、この回転台を回すのが楽しくて、用もないのにクルクル回して母に叱られた記憶がありますが、子どものうちから正しいマナーに触れることも大切なことだと感じる今日この頃。
もちろん、大人になって必要に迫られてマナーを勉強しなければいけないということもありますよね。中華料理のマナーを知ると、国や地域によって、文化や風習が違うということを改めて実感できるのではないでしょうか。
美味しい料理を食べに行く際には、その国のマナーを守って、正しく楽しく美味しくいただきたいですね。