じつは、私の育った愛知県では「ハロウィン」のように馴染み深いイベントでした。
そう、これは行事(イベント)の事なのです。
なのに、嫁ぎ先の神奈川には「お月見どろぼう」の習慣がなく、他の地方出身のママ友に聞いても知る人がいませんでした。 なぜ?
それは、「一部地域の行事」なのだと知りビックリ!
こんな楽しい行事なのに、共感できる人が近くにいないのは残念に思います。
そこで、これからの地域活性化と子育てしやすい環境を作る一環として、「お月見どろぼう」がもっと全国的に普及してほしいという願いを込めて記事にしてみました
では、まず初めに、お月見どろぼうが盗む「お宝」とは、どんな物なのかを説明しますね。
「お月見どろぼう」って何だろう?
よくある疑問点をまとめてみました。
- お月見どろぼうの正体は?
- 盗まれてしまう物は決まってるの?
- 盗んだ後はどうするの?
- どんな「しきたり(ルール)」があるの?
お月見どろぼうの正体
「どろぼう」の正体は子どもです。
お月見の日だけ特別に許される子どもだけのイベントになります。
お月見どろぼうが盗むものとは?
答は「お月見だんご」です。
詳細は「由来」の項目でお伝えしますが
お月見には「お団子」をお供えしますね。それをいただく(どろぼうする)ことが目的になります。
ただし近年は、お菓子が主流で私もお菓子をいただいていました。
盗んだあとどうするの?
いただいた物(どろぼうした物)をおいしく食べきります。
また、どろぼうされた側も幸運になるそうです。
どんな「しきたり(ルール)」があるの?
地域によって多少の違いはありますが、共通している「しきたり(ルール)」を紹介いたします。
「どろぼう」は小学生まで
このようなイベントは小学生が中心です。多少の誤差はあると思いますが、どの地域もだいたい小学生でした。
掛け声がある
どろぼう役の子ども達は
- お月見ください
- つっつくぞ(団子を刺す意味)
などの声がけします。
渡す場合は「お月見どうぞ」と言います。
また、家の敷地にあるお供え物を取る時は、必ず「お月見ください」と言ってから手を出します。
畑の作物を「どろぼう」する場合
「芋名月」と言う地域では「里芋の煮物」をお供えする風習がありますが、その里芋を畑からいただくことができるようです。(地域によって煮物をいただく事もある)
その時は、畑に入って良いのは「片足一歩分まで」で里芋を取って良いことになっています。
「お月見どろぼう」の発祥や由来と受け継がれ方
そもそも「何でわざわざ盗むの?」と思いますよね。
これは、時代背景が関係していると思いました。
昔はお菓子も少なく、子ども達にとって「お団子」はとても美味しく特別な存在だったに違いありません。(私の年代ですら、今のようにお菓子は多くありませんでしたからね。)
そのあたりを調べてみましたが、この風習は明確な記述がありませんでした。
そこで「お月見の歴史」からお伝えしたいと思います。
お月見どろぼうの原点
お月見の風習は縄文時代にはあったそうです。
今のお月見に近づいてきたのは室町時代、そして習慣となったのは江戸時代だそうです。
江戸時代のあたりで、子どもが団子を食べたくて箸でつついたり、家人に隠れて食べたりしたことが有力説になっています。
子どもを「月の使者」とすることで、大人は見て見ぬふりをしたようです。
ハロウィンのような十五夜の風習
沖縄(宮古島)ではお月見の時期に子ども達が獅子舞(ししまい)をつくり、踊って一年の幸せを願ってくれる風習があるそうです。このときに、獅子舞の口にお菓子やお金を入れるそうで、今でも子ども達の大切な役割になっています。
子どもにも伝わりやすい物語
最近では、絵本や動画などで「お月見どろぼう」の意味や始まりを教えてくれる物語もありました。
その中で、ちょっと方言もあり聞いていて楽しい読み聞かせがありましたので、載せておきます。
【お月見どろぼう】
(最後まで11分で聞けます)
我が家の幼稚園児も楽しそうで、一緒に「お月見!お月見!」と言っていました。
地域や時代の流れによって変化
最初は子ども達に食べさせたいと願う大人の優しさから生まれたのではないでしょうか? それが現在まで、形を変えて地域ごとに大切に受け継がれてきたのですね。
そこで、各地域だけのルールを少し載せておきます。(地域性にまとまりはありませんでした)
- 団子は釣る(釣り竿で引っかける)
- 家人に「お月見ください」と直接お願いする
- 竹串で団子を刺す
- 畑の作物が頂ける(一歩だけ畑に入って良いルール)
- お供えにある里芋の煮物も食べて良い
そして近年、団子は菓子になり地域住人の協力のもと、一部地域で続く行事(イベント)になったようです。
全国でバラバラに残る理由
これは、資料がないので風土記や資料館などの解説をもとに、私なりに想像してみました。
ここで、お月見のお供え物(お月見どろぼう)について関係のある話を簡単にまとめてみます。
主に、農村部の地域で行われた風習で、お供え物や畑の作物が十五夜に「どろぼう」されるのは、お月様が持っていったと考えられていました。お月様が持っていく家は、縁起が良い(豊作祈願)と喜ばしい事だったようです。
また、お供え物は分け与える(子どもに持たせる)事で、お月様が食べてくれた事にする地域もありました。
日本は、もともと農村部が多く、このような語りが自然と全国に広まったようです。
しかし近年、農村部は限られた地域となり、その風習が自然に消滅が進んで来ており、現在はその習慣の残る地域だけになってしまったのだと推測しています。
※今回調べてみた、私の感想です。
また、近年の住宅事情から考えて、お月見団子を縁側に飾れる家が少ないですよね。
私の実家の近所でも、お月見だからと言って、お団子を用意する家は、かなり少なくなってきた印象です。
では、今でも行っている地域にはどのような風習が残っているのでしょう?
近年の「お月見どろぼう」
ここでは、以下の事に触れたいと思います。
- どの地域に残っているのか?
- 開催日や時間帯
- 少なくなったイベントについて
今も残る地域
今でも多く残る地域に「愛知県」「三重県」があります。
特にモデルイベントとして「愛知県日進市(にっしんし)」が有名です。
他にも
- 茨城県
- 千葉県
- 山梨県
- 大阪府
- 鹿児島県
- 沖縄県
など、一部の地域で残っていました。
(令和2年1月現在調べ)
もしかしたら、自宅から割と近いところで「お月見どろぼう」が残っているかもしれませんね。
開催日や時間帯
【開催日】
その年の中秋の名月(十五夜)の日になります。
『2020年度は10月1日(木)です。』
ただ、日曜日などを選んで開催する団体(自治会や子ども会など)もありました。
【時間帯】
本来は日暮れから始めますが、最近は昼間に保護者とともに行動するところもあります。(事故防止などの配慮)
実際に日暮れから行っている地域の動画を見つけました。子ども達は夜、出歩く事にもウキウキしますね。
安寺沢地区のお月見、+樹7語や
(山梨県安寺沢地区)
少なくなったイベント
今回の「お月見どろぼう」だけに限った事ではありませんが、日本に古くから続くイベント(節分など)を自宅で盛大に行う事が少なくなりましたね。
先程も少し記述しましたが、調べていて「お月見どろぼう」も同じように消滅した地域がありました。
最近では、神奈川県の茅ヶ崎市でも数年前まで古民家で再現するイベントがあったそうですが、今は行われていないようで、とても残念です。
今もなお継承されている地域では、ぜひ大々的にPRしてほしいです!
「お月見どろぼう」を残すためには
クリスマスやハロウィンはどんどん広まっていったのに、日本版のハロウィンとも言える「お月見どろぼう」が消えつつあるのは残念でしかたありません。
実際に開催している地域の動画がありました。地域の協力のもと受け継がれており、子ども達の嬉しそうな顔もみられます。
(三重県四日市市)
子どもの頃の、こんな特別な「思い出」は、豊かな人間形成には欠かせない財産になると思います。
このような催しは地域の協力なくては開催できませんので、これからの日本を支える子ども達が「日本で育って良かった」と思ってもらえるように、私達大人が協力して楽しいイベントを増やしていけたらと思いました。
まとめ
過去の記憶などを手がかりに「お月見どろぼう」を、私なりに書き留めてみましたが、興味をもっていただけたでしょうか?
子育てをしていて、自分達の幼少期に比べ子ども達の過ごし方も大きく変化していますが、お菓子をもらって喜ぶ顔は今も変わらないと思います。
十五夜をの月を見ながら、お菓子を持って行く子ども達は本当に可愛い「どろぼうさん」です!
子ども達は、楽しい思い出を忘れる事はないと思います。
本当に素敵な風習なので、もう一度、全国に広まって欲しいと思いました。